Apple Pagesの歴史的転換
Apple製のワープロソフトPages、表計算ソフトNumbers、プレゼンテーションソフトKeynotesまとめてiWorkはOS Mavericksから無料となりました。大きな転換でした。
Appleオフィスソフトを使い続けてきました
僕は20年来のMacユーザーですが、仕事やプライベートでの書類作成で使うソフトウエアは、クラリスワークス→Apple Works→Pagesという系譜をたどってきました。
クラリスワークスからApple Works、Apple WorksからPagesへは根本的に違うソフトになり、インターフェイスが大幅に変わり、互換性も限定された変更であり、苦労しました。
大きく変わってきたけれども、シンプルで美しいインターフェイス、画像の扱いの容易さ、直観的な操作、ソフトの軽さは変わらず、使っていて気持ちの良いソフトでした。
クラリスワークスは「総合」ソフトでした。ワープロ、ドロー、ペイント、表計算そしてカード型データベース、さらにはパソコン通信機能までも備えていました。
多機能であるだけでなく、ドローモードで作った画像をワープロやデータベースに貼り付ける、ドローモードの中に表計算用の表を入れるなど、各機能をシームレスに連携して使う事ができました。
ドローモードで作った図形、ワープロモードの定型文などを数十個格納しておけるボックスがあり、とても便利でした。
パソコン通信はほとんど使いませんでした(ニフティサーブ専用のソフトを使っていた)が、
カード型データベースは、住所録に、文献リストに重宝しました。年賀状の表書きも裏書きも専用ソフトなぞ必要ありませんでした。
Apple Works 6からはパソコン通信が除かれ、プレゼンテーションモードが加わりました。
引き続いてメインのソフトとして使っていきました。
Apple Works 6が全然アップデートされず、「見捨てられた」感が感じられた2008年、ワープロ、ドローがPagesへ、表計算がNumbersへ、プレゼンテーションがKeynotesへと独立したソフトになっていきました。
2つの根本的な転換
今回のPages’09からPages 2へは2つの根本的な転換(廃止)があります。
1. まっさらなスペースに自由に図形を配置できる、レイアウトモードが廃止された。
2. 表計算ではない表を作成する機能が無くなった。
実は今もPages ‘09を使い続けています。
Mavericksになった当初、既にiWorksをインストールしているユーザには無償アップグレードは提供されていない状態でした。また、アップグレードした場合、既存のiWorksが使えなくなるのかどうかはっきりしませんでした。
そこで、新しいPages 2はApp Storeで新規に購入しました。
インスペクタウィンドウの常時表示、図形の取り扱いなど、良くなった点もありますが、この2つの廃止は使い勝手を大きく変えることであり、未だに新しいPages の使用は躊躇しています。
Pagesのレイアウトモードが廃止された。
Pagesはワープロモードだけになりました。
Pagesで新規書類を選択すると、テンプレートから選択になります。
以前は「文書作成」(ワープロモード)とページレイアウト(ドロー系)から選択できましたが、新しいPagesでは全てワープロモードの書類になります。
図形を挿入し、編集、移動、グループ化などの操作を行うことはできますが、デフォルトでは一つの図オブジェクトは1文字として扱われます。
文字として扱われないようにするには、オブジェクトの配置から「移動しない」を選べばいいのですが、この一手間が面倒ですし、作図に集中できません。
以前のPagesでもワープロモードでの図形描画はできました。
簡単な図形挿入はワープロモードのまま行いますが、作図に手間がかかる時は、レイアウトモードで新規書類を立ち上げ、作図を行って、それをワープロの文章に挿入するということを行っていました。
それができなくなりました。
そもそも、図だけの書類作成の方がずっと多いです。
ワープロモードは邪魔でしかありません。
マイクロソフトのOfficeにはドローグラフィックソフトが含まれていません。
Windowsユーザの方は、Wordを使ったり、Excelを使ったり、Powerpointを使ったり、色々苦労されているようです。
お金と習得の時間を掛ければイラストレーターがありますし、安価なソフトも探せばあります。しかし、ドローグラフィックソフトはソフト間の互換性がほとんどありません。
Macの場合、多くのユーザが持っているソフトにドローモードがあるわけで、それは大きなアドバンテージになっていたと思うのですが。
訂正
新しいPagesでもページレイアウトモードにできました。
メニューからファイル>「ページレイアウトに変換」を選びます。
文章やインラインの図は失われます。
Numbersの位置付けが変わった
「Windowsユーザの方は、Wordを使ったり、Excelを使ったり、」と書いてて、気が付きました。
「まっさらなスペースに自由に図形を配置できる、レイアウトモード」はありました。
Numbersに。
NumbersはExcelとは大きく異なり、ひとつのシートに表を何枚でも自由に挿入して使います。
このシートは文章を打つことはできないが、図形もテキストボックスも自由に配置することができるもので、
以前のPagesのドローモードと同じ機能を有しています。
新規書類に付いてくる表を削除してしまえば、後は図形描画に集中することができます。
あるいは表の無いテンプレートを作ってしまっても良いでしょう。
表計算ではない表を作成する機能が無くなった
Wordの表は、文に罫線をつけたもの。
Excelの表は、データを収納する行と列からなりたっているもの(行番号・列番号がある)。
です。
クラリスワークスからiWorksに到るまで、Appleのオフィスソフトの表はMicrosoftとは違うものでした。
2つあり、ひとつはExcelと同様な行番号・列番号があり、関数を使う事ができるもので、クラリスワークスやApple Worksの表計算モードやNumbersの基本構造です。
もうひとつの表は行番号・列番号は無いものですが、Wordの表と異なり、一つのオブジェクトとして扱われるものです。
書類全体のレイアウトに影響せずに作表ができ、また中身と罫線を切り離して処理できる、とても使いやすい表です。
通常の表としても、罫線だけ・テキストだけの図形としても使う事ができますので、「図形式の表」と呼びます。
僕の仕事では、定期試験の解答用紙を作成するのに、この表の扱いやすさの有り難みを感じています。
クラリスワークスやAppleWorksのドローモードではこの2種類の表を選んで挿入することができました。
旧Pagesではワープロモードでもレイアウトモードでも、後者の表が使われます。ただし、簡単な表計算もできるようになり、=を入力すると表計算の表に変わります(めったに使わないけど)。
ところが、新しいPagesでは、行番号・列番号があり、関数を使う表計算型の表になりました。
もう、簡単に定期試験の解答用紙を作ることができない気がします。
そこで、Pagesのアップデートをためらっています。
まとめと考察
旧iWorksではPagesがワープロ・ドローソフト、Numbersは表計算ソフトという位置付けでした。
Mavericksでは表の形式が一つだけになり、Pagesはワープロに、Numbersはドローソフトになった、という事だと思います。
昔はこうだったんだよなあ
(旧Pagesで作成)
今まで、Numbersは別途購入しなくはいけなかったのが、無料で提供されるようになりました。
iWork全体で一つのソフトということなのかもしれません。
iOS重視のあおりを喰っての機能削除ですけども、無料になったことは良いことだと思います。
少しでもPagesを使う人が増えてくれればと思います。
今後の予定
クラリスワークス→AppleWorks→iWorks と変わるたび、がっかりしてきましたが、何とか慣れてきました。
今回もそれに匹敵するがっかりなのですが、そろそろ我慢して移行しようかと思います。
ExcelからPagesへの移行も試していこうと思います。
3時間もかかった...