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”研究で一番大事な事は工夫すること”

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日本史の謎は「地形」で解ける

 

日本史の謎は「地形」で解ける (PHP文庫)

日本史の謎は「地形」で解ける (PHP文庫)

 

 昨日、息子の塾の迎えに行きました。その塾には駐車場が無く、近くの大型の本屋で待つようにしています。ほんの数分ですが、そこで立ち読みをするのが楽しみです。塾の待ち合わせに駐車場を拝借しているのは申し訳なく感じ、文具を買ったり、本を書くこともしばしばで、駐車料金以上のお金を落としていると思います。

 
なかなか息子が戻ってこなく、いつもは行かない文庫本のコーナーに向かい、目に止まったこの本を一章分読んでしまいました。
 
僕は2年ほど前、急に日本史に持ち、勉強をしたことがあります。そのきっかけが、以前からの趣味であったランニングでした。
ランニングの面白さはたくさんありますが、僕が特に惹かれたのは、どこまでも自分の足で、そこそこの速度で走っていくことができるということです。当時、数年ランニングを続けていて、30km位は走れるようになっていました。それくらいの距離になると、結構な遠出になります。ただランニングコースをぐるぐる廻るのでは(運動としては良いですが)飽きてしまうし、勿体ない。そこで、「旧東海道を走ろう」というプロジェクトを始めました。
 
調べてみると、旧東海道を「歩く」ということをされている方は結構多く、ブログやHPがあったり、書籍も出ていたりします。各自治体で旧道を保存しようと動きもあり、特に東海道は旧跡も多いということがわかりました。あいにく、僕は東海道沿線に住んではいませんでので、最初のランニングは静岡の妻の実家に滞在したときとなりました。富士〜清水、静岡〜金谷を走りました。旧東海道は現存の国道1号とは異なったルートである部分が多く、ガイドブック片手でも何度も道を失ってしまいます。歩くのなら何度も地図を見られますが、走ると地図を見る回数が減る(立ち止まるのはしんどいので)という原因もあります。
 
そして、一日休暇を取って東京出張の前乗りができた1月のある日、念願の日本橋〜戸塚を敢行しました。おおよそ50kmあり、道に迷ったこと、信号が多いことから、まともな食事も取らなかったのに、8時間もかかりました。さすがに脚にきましたが、江戸時代の旅人は普通、初日に戸塚宿まで行ったという事を知り、意地で走りました。
 
江戸時代の人が見たであろう景色を思い浮かべながら、走るのはとても楽しいものでした。東海道の事を調べるうちに、その背景となる日本史に興味が湧き、勉強するようになりました。しかし、高校の教科書で勉強する日本史は、何か物足りないものを感じました。人々が見ていた「景色」が見えない気がしました。
 
僕が、題名を見て、この文庫本を手に取ったのはそういう理由です。
著者の竹村氏は専門の歴史家ではありません。東北大工学部出身の土木屋で、建設省(国土交通省)官僚だった人で、おそらく治水が専門だと思われます。若い頃、尊敬する批評家に「君は上から目線だね」と言われた彼は、あくまで技術屋としてインフラ整備という観点から、日本史の意外な真実を説き明かそうとしていきます。
 
関ヶ原勝利後、なぜ家康はすぐ江戸に戻ったか
なぜ信長は比叡山延暦寺を焼き討ちしたか
なぜ頼朝は鎌倉に幕府を開いたか
元寇が失敗に終わった本当の理由とは何か
半蔵門は本当に裏門だったのか
赤穂浪士の討ち入りはなぜ成功したか

 

など、18のミステリーを土木専門家の視点で「下から」解き明かしていきます。
 
半蔵門付近を歩いていたら、天皇皇后両陛下が車で出ていくのに出くわしたというエピソードから、江戸城の正門はどこであるのかを解き明かす過程は、ミステリー小説を読んでいるようでした。
 
「四十七士はなぜ泉岳寺に埋葬されたか」の章では、旧東海道を走った時に疑問に思った事が取り上げられており、腑に落ちました。
 
こんど、塾に迎えに行くときに、続編を買おうと思います。

 

日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】 (PHP文庫)

日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】 (PHP文庫)