「研究に最も大事なことは工夫です」
もう10年以上前になるでしょうか、学会の前日に成り行きでシンポジウムを聴講するということがあって、リタイヤする教授の記念講演を聴きました。
その教授は、光合成の研究に関して大きな業績を残したらしいということは、司会の人の話でわかりました。(ちょっと分野が違うので知りませんでした)
講演の最初に、これまでの研究生活を振り返って、「研究において最も大事なことは」と話し始めました。
何だろう?
夢を持つことだろうか?あきらめず続けることだろうか?独創性だろうか?と予想しました。
すると、一言、
「工夫です」
と話されました。何か、肩すかしな感じがしました。
毎日、毎日の実験で常に「これをもっと工夫できないか?」
と考えていたそうです。
残念ながら、工夫の具体例とか効果の話はなく、その後は光合成の話(あまり面白くはなかった)に移っていきました。
でも、この「研究に最も大事なことは工夫です」
というフレーズが僕の中では妙に引っかかっていて、忘れられません。
たとえば、ある実験をするとき、この順番でやればピペットを使う回数を6回から4回に減らせるとか、せこい工夫を考えています。
教授の言いたいことはそういう事ではなかったのかもしれませんが。
何をどうすれば手数を減らせるとか、安くできるとか(研究はお金が大事です)、
トリビアルなことは、学会とか公の場で語るにはあまり向いてなくて、
また、時代とか環境とかとともに刻々と変わるものだと思います。
インターネットは誰でも自由に情報発信できて、秒単位で変化していきます。
なので、インターネットって「工夫」を語るメディアとして捉えると良いのではないかなあ。
バイオ系ではBioTechnicalフォーラムは良質な掲示板です。この掲示板はもともと、あるバイオ系研究者の人が海外研究留学に関するTipsのホームページ(お世話になりました)を立ち上げて、そのおまけみたいな掲示板でした。それが、口コミで拡がっていき、今は掲示板がメインになっている感じです。
ここまで書いていて、インターネットって垣根が無いというも大きな特長だという事を思い出しました。田舎の高専の学生も東大のポスドクと語り合える。
ネット活用が研究に大事という、何かステレオタイプな話になってしまいました。