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”研究で一番大事な事は工夫すること”

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仙台市蒲生干潟

トピック「復興」について

3年が経ちました。

 

学生時代、僕は仙台に住んでいました。

大学に入って野鳥の会に入り、バードウォッチングにはまり込みました。

仙台は都会ですが、自然に恵まれ、バードウォッチングに適した場所もたくさんありました。歩いて行ける青葉山、広瀬川には毎日のように通いました。

 

 

段々と身近な鳥を覚えていくと、次は特別な場所に特別な時期にしか居ない鳥に興味が出てきます。

シギやチドリはという鳥の仲間はそんな種類の野鳥です。

シギやチドリの多くはシベリアで繁殖し、東南アジアで越冬します。日本には春と秋だけ通過します。通過地では干潟で貝やゴカイを長い拾って食べます。

茶色基調の地味な鳥でお互いよく似ていますが、たくさんの種類がいます。双眼鏡、できれば望遠鏡(フィールドスコープ)を持って、いつもの図鑑(フィールドガイド日本の野鳥)の他に野鳥識別ガイドブックを持って行くことがシギ・チドリを愉しむのに必要です。

 

仙台では仙台港のすぐ南に位置する蒲生干潟がシギチドリの名所でした。「野鳥の会」の探鳥会では仙台駅前からバスに40分ほど乗って行きました。半日かけて干潟を廻ると、一日に40種類以上の鳥を見ることができました。

 

 

他の人が見ていない鳥が見たかった僕は、年一回の探鳥会では飽きたらず、一人でスクーターに乗って、蒲生に通いました。大型の台風が通過した眠れなかった夜が明けた時も、蒲生に向かいました。台風に巻き込まれて迷い込んだ、セイタカシギ、アオアシシギ、コキアシシギというレアな鳥が望遠鏡の視野の中に3種並んで佇んでいるのを見たときの喜びは忘れられません。

 

蒲生干潟の周辺は自然あふれるという環境ではなく、すぐ北側には仙台港と工場があり、漁業を生業とする方々の古くからの集落で、木造の民家が建ち並んでおり、干潟自体も養鯉場に隣接した生活の臭いがする場所でした。そんな所も含めて、蒲生干潟は大好きな場所でした。

 

2011年3月12日の朝、テレビニュースで「仙台市荒浜で多数の遺体を発見」という速報が流れたとき、荒浜そして七北田川をはさんでその北側に位置する蒲生の惨状が想像されました。信じられませんでした。

 

2011年の夏、仙台の復興に協力できないかと思い、家族で松島に旅行に行きました。仙台の中心部は「がんばれ東北!」というポスターがいたるところに貼ってあり、復興へのエネルギーを感じました。中心部には被害の痕跡は見あたりませんでした。

 

松島に行く途中、思い立って、蒲生への道に寄りました。スクーターで通っていた土手の道が干潟よりかなり手前で通行止めになっていて、迂回路に入りました。比較的新しい家やアポートが多いところです。

歩いている人も走っている車も無いことに気付き、車を止め、僕一人で車を降りました。

すぐに、家やアポートに誰も住んでいないことに気がつきました。

建物の二階、屋根はそのままでしたが、一階部分には窓がありません。

スズメの声以外は聞こえませんでした。

足がすくみました。その先に向かうことはできませんでした。

 

Googleマップの写真はいつ撮影されたものでしょうか?

干潟には車がたくさん止まっており、防潮堤らしきものが造られています。

シギやチドリは戻ってきたかもしれません。

蒲生の町はまだ緑色が目立っています。