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”研究で一番大事な事は工夫すること”

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なぜ振り逃げ三振があるのか?〜というより、なぜスリーストライクはアウトなのか?

振り逃げ三振とは

ツーアウトランナー無し、ツーストライクからの投球を打者が空振りしたが、キャッチャーがボールを逸らして、打者が一塁に走り、セーフ。

 

このようなプレーを(日本では)「振り逃げ三振」と言います。

記録は三振ですが、アウトではなく、投手の暴投または捕手のパスボールがつきます(多くは投手の暴投)。

 

最近は高校野球でも、ストライクゾーンから鋭く落ちる変化球を決め球にする投手が多く、地区予選ではこんなプレーも珍しくありません。

投手が打者に完全に勝ったのに、まさかの大逆転。守備側としてはがっかり、攻撃側としてはラッキーです。

こんな規則、どうしてできたのでしょうか?

 

ルールブックには打者のアウトになるケースとして2番目に「三振」でのアウトが載っています。

野球規則6.05 打者は次の場合、アウトとなる。

(a)〜略〜

(b)第三ストライクと宣告された投球を、捕手が正規に捕球した場合。

【原注】”正規の捕球”ということは、まだ地面に触れていないボールが、捕手のミットの中に入っているという意味である。〜以下、略

 

逆に捕手が正規に捕球しなかった場合は、スリーストライクにも関わらず、アウトではないわけです。

「振り逃げ」といいますが、打者が見逃して投球がストライクゾーンを通過した場合(見逃し三振)も捕手が正規に捕球しなかった場合は、「振り逃げ」と同じ状態になります。

 

打者はどうなるか?スリーストライクを宣告されたので、これ以上打席に立てなくなります。ゴロを打った時と同様に一塁に走らなくてはいけません。

アウトになるのも、ゴロを打った時と同様です。

(j)打者が第三ストライクの宣告を受けた後、またはフェアボールを打った後、一塁に触れる前に、その身体または一塁に触球された場合。

 

振り逃げ三振ができないのはいつ?

よく混乱するのが、振り逃げ三振ができないケース、スリーストライクの宣告と同時に打者アウトとなる場合です。

無死または一死で、走者が一塁にいる場合(一二塁、一三塁、満塁も)は振り逃げができません。二死の場合は必ずできます。

アウトカウントで違うので、覚えにくいように見えますが、要するに、内野ゴロダブルプレーができる状態がそうです。

 

打者が一塁に走るということは、一塁走者は二塁にいかなくてはいけません(「フォース」の状態と言います)。その時、一塁走者が二塁に到達される前にボールが二塁に送られて触塁されれば一塁走者はアウトになりますし、続けて打者走者もアウトにするプレーもできます。

捕手は「正規に」捕球さえしなければ、そういうダブルプレーをできる状況になるので、わざと一度捕った投球を前に落として...というプレーも容易にできます。

無死満塁なら、捕手がわざと落とす→すぐ拾ってホームを踏む(三塁走者アウト)→三塁に送る(二塁走者アウト)→三塁手が一塁に送る(打者アウト)のトリプルプレーもあり得ます。

そういう「ずる」が起きないようにする規定です。

 

刺殺と補殺

だったら、全部スリーストライクでアウトにすれば良いような気がします。

 

スリーストライクだけで良いなら、走者が居ない時に捕手が必要なくなり、フェアグラウンドで守るようになるので、審判が大変だし、みっともない。

という理由かもしれませんが、

 

これは、野球の哲学に関係するのではないかと思っています。

 

打者が打ち、「まだ地面に触れていないボール」をグローブに収めると、打者はアウトになります。

フライやライナーですね。

これは、野球規則6.05の(a)項にあります。

 

ボールが地面に触れると、(j)項「一塁に触れる前に、その身体または一塁に触球された場合。」のみアウトになります。

ゴロでのアウトですね。

 

内野ゴロのダブルプレーのように、フォースになった走者が到達する前に野手に触塁されたり、盗塁死の時のように、体に触球されてアウトになる場合があります。

 

守備側からみて、このように打者や走者をアウトにするプレーを「刺殺」と言います。

対して、ゴロアウトの場合、ショートゴロをファーストに送ってアウトの場合、ショートは直接アウトにしていません。この場合、ショートのプレーは「補殺」と言います。

 

ライトのイチローがレーザービームの様な送球でタッチアップを試みた三塁ランナーを「刺した」場合、「刺殺」はキャッチャーであって、イチローは「補殺」になります。

刺しら補殺、捕ったら、刺殺....ややこしいです。

 

打者が打ってから刺殺するまでの間のプレー全てが補殺になります。6-4-3のダブルプレーではショートもセカンドも補殺(者)です。

一方、刺殺は常に一人しかいません。

 

逆に、刺殺なくしてはアウトにならず、と考えることもできます。

三振の時は、どうなのか?

キャッチャーが刺殺者です。

ピッチャーが投げるのは打者に向かって投げる投球であり、キャッチャーへの送球ではありません。ですから、三振の時はピッチャーは補殺者にはなりません。

 

補殺者無しでアウトになるのは、フライアウト・ライナーアウトだけです。

その時、「地面に触れていない球」を捕らなくてはいけません。

 

そういった整合性の問題でもあると考えます。

 

そもそも、打ってないのにアウトになるほうがおかしい

では、なぜ、打者が打っていないのに、「地面に触れていない球」を捕らなくてはいけないのか?

 

それは、「投手は打者に打たせなくてはいけないから」だと思います。

そもそも、打ってないのにアウトになるほうがおかしい。

もともと、ベースボールは打者に打ってもらう球技でした。

 

投手は打者に打たせる。守備はノーバウンドで捕ったらアウト。

永遠にバットに当たらないと、終わらないから、スリーストライク(ストライクは打て!という意味ですね)までとする。

打者はもう打つことはできないけど、投手も打たせてあげられなかった責任があるから、スリーストライクになった瞬間、そのボールを打球と同じ扱いにする。ノーバウンドで捕れたらキャッチャーライナーと同じでアウトにするけど、捕れなかったらゴロと同じ。

 

と考えると、腑に落ちると思いますが、どうでしょうか?